血液中のパルボウイルス-電子顕微鏡写真(出典:wikimedia)
目次
伝染性紅斑(りんご病)ってどんな病気?
伝染性紅斑はエリスロウイルス属に分類される(骨髄中の赤血球先駆物質に侵入する能力がある為)ヒトパルボウイルスB19の初感染(伝染性の病原体に初めて感染する事)による感染症で、「りんご病」という通称で知られています。
このヒトパルボウイルスB19は小児期に感染する事が多いですが、小児期に感染していない場合は成人でも感染するというのがポイントです(1度感染すると終生免疫が得られる)。
主な感染経路は飛沫感染(咳・くしゃみ・会話等で、5μm以上の飛沫粒子により伝播する)ならびに接触感染(手指・食品・器具を介して伝播する頻度の高い伝播経路)です。妊娠時には母子感染も。
>>感染症の代表的な感染経路(接触感染・飛沫感染・空気感染)
主な症状ですが小児と成人では様態が異なります。
10~20日程度の潜伏期間を経て発熱や悪寒、倦怠感、頭痛等の症状が現れ、発症から1週間程度経過した後両頬に境界鮮明な蝶翼状の紅い発疹が、続いて手足にも網目状、レース状の発疹が現れます。
一般的に発疹は1週間程度で消えますが、長引いたり一度消えた発疹が再び現れる事もあります。
成人では症状が重くなる事もあり、関節炎や頭痛を起こす事もあります。関節炎によって1~2日程度歩行困難になるケースもありますがほとんどの場合合併症を起こすことなく自然回復します。
特徴的な発疹が現れる頃にはウイルスの排出はほとんどなくなっており感染力もほぼ消失しています。
年によって若干のパターンの違いはありますが年始から7月上旬頃にかけて症例数が増加(特に春季)し、9月頃症例が最も少なくなる季節性を示します。
感染症発生動向調査によれば5年周期で症例数が増加する傾向が見られます。患者の年齢分布は5~9歳での発生が最も多く、次いで0~4歳となっています。
伝染性紅斑(りんご病)の予防方法
特異的な治療法はなく、対症療法のみである。免疫不全者における持続感染、溶血性貧血患者などではγ-グロブリン製剤の投与が有効なことがある。
前述したとおり、紅斑の時期にはほとんど感染力がないので、2次感染予防の必要はない。また、ウイルス排泄期には特徴的な症状を示さないので、実際的な2次感染予防策はない。現在のところワクチンはない。
国立感染症研究所HPより引用
有効なワクチンはなくウイルス排泄期に分かりやすい症状が現れないので感染を防ぐのが非常に難しい感染症です。
ただし、小児の症状はそれほど重くなく成人が感染しても重症化しやすい感染症ではない為あまり神経質になりすぎる必要はありません(溶血性貧血症患者は重度の貧血発作、免疫抑制状態の患者は重度の貧血症を起こす可能性があるので要注意)。
しかし妊娠中の妊婦にとっては軽視できない感染症です。
B19感染症で注意すべきものの一つとして、妊婦感染による胎児の異常(胎児水腫)および流産がある。
妊娠前半期の感染の方がより危険であり、胎児死亡は感染から4~6週後に生ずることが報告されているが、妊娠後半期でも胎児感染は生ずるとの報告もあり、安全な時期について特定することはできない。
国立感染症研究所HPより引用
妊娠中の母子感染によって胎児水腫(胎児の皮下浮腫、胸水、腹水、心嚢水のうち2つ以上を認める状態)や流産の可能性があるので風疹感染と同じように注意する必要があります。
予防方法についてですが、ウイルス排泄時期が症状出現時よりも1週間以上前なので感染者を特定する事が難しく予防は困難です(感染者が無症状の状態でウイルスを排泄しているため)。
さらにヒトパルボウイルスはエンベロープを有しないウイルスの中でも特に消毒薬抵抗性が強い部類に入りますのでアルコールやポビドンヨードでは効果が不十分です。
>>ノロウイルスの一般常識~アルコール消毒が効かないはなぜ?~
感染経路の遮断が困難な上、ワクチンはないので特に妊婦は今まで以上に人の多い場所にいかない、正しい手洗いを行う、マスクを着用する、日々の消毒除菌対策に気をつける等で予防しましょう。
伝染性紅斑(りんご病)対策アイテム
石鹸
無添加せっけん泡のハンドソープ
手洗いはさまざまな感染症から身を守る為の最も重要な予防方法です。
正しい手洗いをする事で手指に付着したウイルスを洗い流す事ができる為感染予防につながります。
石鹸にも普通石鹸や薬用石鹸、逆性石鹸等数多くの種類があり除菌殺菌効果に大きな違いがあるようにみえますが実はそれほど差があるわけではありません。
正しい手洗いができるなら普通石鹸で十分な効果が期待できます。
マスク
快適使いきりマスク プリーツガード
飛沫感染対策としてマスクはとても効果的です。
一般的なマスクで十分ですが、何度も使わずに必ず1回毎に廃棄し、使い回しは絶対にやめましょう。
除菌剤
アビィ除菌消臭水
安全性の高さと、様々な細菌やウイルスに効果がある強い除菌力を備えた、とても使いやすい塩素系除菌剤です。
安全で水と同じような感覚で使えるので食べ物が触れる場所や子供が触りそうな場所に最適。
感染者が出ていない状態で予防対策として使用したり、次亜塩素酸ナトリウムの使用が難しい金属部分に。
消毒剤
ピューラックス
確実に消毒したい時には確実性の高い次亜塩素酸ナトリウムの使用をおすすめします。
ピューラックスは次亜塩素酸ナトリウム製品の中でも医薬品であり、信頼性は高いです。
安全性の問題や金属への使用ができないなど注意点も多くありますが、同じく効果が期待できるグルタラール製剤と比べて危険性や入手のしやすさで差があるのでこちらがおすすめです。