インフルエンザウイルスと湿度、温度の関係

毎年夏場にはほとんど感染報告がないのに、冬場になると大流行するインフルエンザ

もうご存知の人も多いと思いますが、インフルエンザウイルスの感染には湿度温度と深い関係性があります。

その根拠とされている最も有名な物のひとつが1961年にG.J.Harperらによって発表されたsurvival test with for virusesという論文だといわれています。

>>Airborne micro-organisms: survival tests with four viruses

インフルエンザウイルスと湿度、温度の関係

論文のインフルエンザウイルスと湿度、温度との関係を分かりやすく図にしてみました。

内容をまとめると、実験装置にインフルエンザウイルスを浮遊させ、温度や湿度を変えてウイルス生存率の推移を見てみるというものです。

結果は、温度21~24度で湿度20%に保った時の6時間後生存率は60%に対して、同温度で湿度を50%に保つと生存率は3~5%になりました。

次に温度7~8度で湿度を22~25%に保った時の生存率が63%同温度で湿度を50%以上に保った時の生存率は35~42%という結果でした。

最後は温度を32度、湿度50%で試験をすると6時間後のウイルス生存率は0だったという事です。

この実験結果から温度が高く、湿度が高い環境ではインフルエンザウイルスの生存率が下がるという結論に至ります。

インフルエンザウイルスの生存率には紫外線などの要素も関連性があると考えられていますので、温度と湿度のみで生存率が変わるという事ではありません。

温度に関しては現代の家は品質の良い断熱材や暖房設備により、外気との差が少なくなっていますので、湿度に注視すればいいと思います。

湿度80%の状態で生活するのは現実的に難しいので、過ごしやすくウイルスの生存率も下がる50~60%を目安に、加湿器などを使用してコントロールする事をおすすめします。

>>【加湿器は感染予防に効果大】種類別のメリットとデメリット

この論文も参考になります。

>>Influenza Virus Transmission Is Dependent on Relative Humidity and Temperature

その他、インフルエンザ(季節性インフルエンザA型)の感染予防にビタミンDが効果的という研究報告もあります。

>>インフルエンザの感染予防にビタミンDは効果的


追記

本記事(インフルエンザウイルスと湿度、温度の関係)は2013年に書いたものですが、2018年に英国のオックスフォード大学出版局が発行している「Journal of Infectious Diseases」6/7オンライン版に「高湿度の環境下でもインフルエンザウイルスの感染力が弱まらない可能性がある」という論文が掲載されました。

インフルエンザウイルスの感染経路は飛沫感染および接触感染と考えられていますが、飛沫感染が成立する為には当然ながら飛沫に含まれるウイルスの感染力が維持されていなければなりません。

研究グループがインフルエンザウイルスの感染力と湿度の関係に着目して実験を行った結果、湿度23~98%(7段階)のどの相対湿度でもインフルエンザウイルスの感染力は弱まらなかったとの事です。

論文著者の一人Seema Lakdawala氏は「少なくとも1時間の間は咳などで飛散した気道分泌物がウイルスを保護している可能性が考えられる」と述べています。

この研究はこれまで考えられていた「インフルエンザウイルスは湿度が低いと生存率が高くなり、湿度が高いと生存率は低くなる」という常識を覆すものになる可能性がありますね。

研究グループは今回の研究を踏まえたインフルエンザ対策として、「これまでよりももっと換気の回数を増やす」、「紫外線照射殺菌機能のついた空気清浄機の活用」、「ドアノブやキーボード、電話、机など接触する可能性が高いものを定期的に消毒する事」等を推奨しています。

循環式紫外線空気清浄機 エアーリア
空気循環式紫外線清浄機 エアーリア
Yahoo!で探す 楽天で探す Amazonで探す

ただ、この研究だけをもってこれまで信じられていたインフルエンザウイルスと湿度や温度の関係性が崩れるというわけではありません。

今後さらなる研究や検証が行われる事によって今回の研究の信頼性や信憑性が決まる事になります。

それまでは現時点で我が国の厚生労働省でも推奨されている湿度対策を行う事は間違いではありません。

研究論文

>>Influenza Virus Infectivity Is Retained in Aerosols and Droplets Independent of Relative Humidity.