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梅雨時期から細菌を原因とした食中毒が増加
食中毒は1年中発生しており原因も「細菌」、「ウイルス」、「自然毒」とさまざまですが、梅雨時期から夏場にかけては細菌を原因とした食中毒が多発します。
食中毒の原因となる細菌の多くは高温多湿を好む為、気温と湿度が高くなり始めると増殖が活発になります。その結果、気温湿度ともに低い冬場に比べて夏場には食中毒のリスクが増す事になるのです。
注意しなければいけない細菌
梅雨から夏場にかけて注意するべき細菌の名称と特徴です。
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは主に海水中に生息する細菌であり、腸炎ビブリオで汚染された魚介類などを生食する事で感染し、腸炎ビブリオ食中毒を発症させます。
腸炎ビブリオによる食中毒の発生時期は、5~6月から次第に増加し7月~9月の夏場がピークですが、最近では輸入した魚介類により、季節を問わず発生する可能性があります。
個別の予防方法などは>>腸炎ビブリオ食中毒の症状と予防方法
腸管出血性大腸菌O157
大腸菌は人や動物の腸管に存在しています。通常病原性はありませんがいくつかの大腸菌は人に対して病原性があり、これらを総称して下痢原性大腸菌(病原大腸菌)と呼んでおり、腸管出血性大腸菌O157もこの下痢原性大腸菌グループに入ります。
7~10月頃の発生が多いですが、時期を問わず発生する可能性があります。
個別の予防方法などは>>腸管出血性大腸菌O157の症状と予防方法
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は食中毒の原因以外にも表皮感染症(水虫やにきびなど)や肺炎などのような感染症の起因菌でもあります。顕微鏡で見るとブドウの房のように集合する為にこのような名称になりました。
毎年7月から10月までの比較的気温の高い時期に集中して発生しますが、時期を問わず注意する必要があります。
個別の予防方法などは>>黄色ブドウ球菌食中毒の症状と予防方法
サルモネラ属菌
サルモネラ属菌は牛、豚、鳥などの動物の腸管や河川、下水など自然界に広く分布してます。
サルモネラ属菌によるサルモネラ食中毒は6~10月頃に発生する事が多いですが、冬場に発生する事もあります。
個別の予防方法などは>>サルモネラ食中毒の症状と予防方法
カンピロバクター
カンピロバクターはカンピロバクター症の原因菌であり、現在15菌種に分類されています。家畜、家禽、ペット、野生動物、野鳥などあらゆる動物に分布しています。
原因施設としては飲食店がその大半を占めています。発生時期は5~7月にかけてがピークですが、年間を通じて散発事例が多いのが特徴です。
個別の予防方法などは>>カンピロバクター症の症状と予防方法
ウェルシュ菌
ウェルシュ菌は人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布し、ボツリヌス菌と同じ酸素を嫌う嫌気性菌で、一度に大量の食事を調理した給食施設などでしばしば発生することから「給食病」とも呼ばれます。
夏場の発生が多いですが、最近では秋にもよく発生しており、季節を問わず発生する可能性があります。
個別の予防方法などは>>ウェルシュ菌食中毒の症状と予防方法
食中毒予防3原則
食中毒を引き起こす細菌はさまざまなので個別に対策をとる必要がありますが、基本的な知識として「食中毒予防の3原則」があります。
1.原因となる菌をつけない!
食品に食中毒の原因となる細菌がつかなければ食中毒になる事はありません。
正しい手洗いや調理器具を清潔に保つ事で細菌が食品につかないようにしましょう。
【手洗いのタイミング例】
☆調理をはじめる前
☆細菌が元々付着している生の肉や魚、卵、野菜などに触れる前後
☆トイレなどへ行った後
☆食事の前
生の肉や魚などを切った包丁やまな板は細菌が付着している可能性があるので、その都度丁寧に洗浄し消毒、除菌をしっかり行いましょう。
2.原因となる菌を増やさない!
食中毒菌の多くは高温多湿の環境では活発に増殖し、低温の環境なら増殖は緩やかになります(10度以下になれば増殖が緩やかになり-15度以下で増殖が停止する)。
菌量が少なくても食中毒を引き起こす細菌も存在しますが、菌量を低く抑える事は予防につながりますので肉や魚などの生鮮食品や調理済みのお惣菜などはできるだけ早く冷蔵庫に入れましょう(食中毒菌が死滅する事はないが増殖を抑える事はできる)。
3.原因となる菌をやっつける!
ほとんどの細菌やウイルスは高温で加熱する事で死滅するので、食中毒を防ぐ為に一番有効なのは食品を加熱して食中毒菌をやっつける事です(ウェルシュ菌やボツリヌス菌などのように芽胞を作る細菌は熱に強いので注意)。
75度で1分以上加熱(中心部)する事で肉や魚、野菜なども安全に食べる事ができます。
まな板や包丁、布巾などについた細菌やウイルスは熱湯やアルコール、次亜塩素酸系の消毒剤除菌剤でやっつけましょう。
アルコール系は使い方に注意>>アルコール除菌・消毒剤の使い方と注意点