冬場はインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行しますが、気温が上がる夏場は食中毒やいわゆる夏風邪と呼ばれる感染症が流行します。
目次
夏場に感染しやすい細菌性食中毒
高温多湿になる梅雨から夏場にかけて各地で細菌性の食中毒が流行します。
食中毒菌は温度(10℃~60℃の間で増えるが35℃程度が最適)、水分、栄養の3つの要素が揃う事で増えますが、特に夏場の高温は食中毒菌にとって最適な環境なので夏場によく流行します。
腸管出血性大腸菌O157
腸管出血性大腸菌O157は動物の腸管内に存在する大腸菌に汚染された食品(特定の食品ではなく二次感染により全ての食品に危険性がある)を食べる事により感染します。
わずかな菌数でも感染を起こす上に症状が重症化しやすい非常におそろしい食中毒です。
腸炎ビブリオ食中毒
腸炎ビブリオは主に海水中に生息する細菌で、この腸炎ビブリオに汚染された魚介類などを生食する事で感染します。
日本で発生する細菌性食中毒の中でサルモネラと並んで1~2位にあたり、感染の可能性が非常に高い食中毒です。
サルモネラ食中毒
サルモネラは動物の腸管、河川、下水などに広く分布している細菌で、サルモネラに汚染された生肉や食肉調理品(特に鶏肉)などを食べる事により感染します。
腸炎ビブリオ食中毒と並んで日本では非常に感染報告の多い食中毒です。
黄色ブドウ球菌食中毒
黄色ブドウ球菌は人や動物の皮膚や消化管の常在菌であるブドウ球菌の一種でこの黄色ブドウ球菌が増殖時に作るエンテロトキシンという毒素を食べ物と一緒に食べる事で食中毒になります。
様々な食品が原因になり、穀類及びその加工食品、弁当や和菓子、乳製品などが原因食品として多く報告されています。
カンピロバクター症
カンピロバクターは家畜、家禽、ペット、野生動物、野鳥などあらゆる動物に分布しており、保菌動物や鳥類などの糞により汚染源となった食品を食べる事により感染します。
食品が汚染されていても匂いや味に変化が無い為、非常に分かりにくい事が感染者を増やしています。
夏場に感染しやすいウイルス性感染症
夏場に感染しやすいウイルス性の感染症はいわゆる夏風邪と呼ばれているものです。子供が感染しやすい事から学校などでしばしば集団感染を起こします。
アデノウイルス感染症
アデノウイルスは肺炎、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎(はやり目)、出血性膀胱炎、急性濾胞性結膜炎、胃腸炎などを引き起こすウイルスです。
感染力が強い為しばしば集団感染を起こす為、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎は、ともに学校保健安全法で学校感染症とされています。
手足口病
手足口病はコクサッキーウイルスの一種が原因となって起こる感染症で、口の中や手の平などに水疱性発疹が出るのが特徴です。
アデノウイルス感染症やヘルパンギーナと同じく夏風邪と呼ばれるものの1つです。
>>手足口病とは
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは流行性のものは特にA群コクサッキーウイルスが原因となって起こる感染症で、高熱や咽頭痛、口腔内の水ぶくれなどが特徴的です。
アデノウイルス感染症、手足口病と同じく感染力が強いので予防が難しい感染症です。
RSウイルス感染症
RSウイルス感染症はRSウイルスに感染する事で起こる感染症で、乳幼児の肺炎の50%、気管支炎の50〜90%を占めると言われています。
以前は11~1月にかけての冬季に多く報告されていた感染症ですが、近年は7月頃からの報告も増えてきており夏場でも注意が必要です。