デング熱、チクングニア熱の特徴と予防

蚊の用心。ひと刺し用心。

2014年8月に日本国内で70年ぶりに感染者が確認され(海外で感染してデング熱を発症する症例は毎年100例前後報告)話題になったデング熱と、同じく蚊によって媒介され症状のよく似たチクングニア熱の特徴と予防対策です。

デング熱ってどんな病気?

 

ヒトスジシマカ
(ヒトスジシマカ)

特徴

デング熱はフラビウイルス科フラビウイルス属のデングウイルスによって引き起こされる感染症で、ネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介されます(日本国内では近年ネッタイシマカの定着が確認されていない)。

デングウイルス保有者の血液を吸血した蚊がウイルスを保有し、この蚊が非感染者を吸血する事で感染が生じます。インフルエンザなど一般的な感染症とは違いデング熱はヒトからヒトへは感染しません(輸血や血液製剤、臓器移植は例外)。

刺されるのは主に日中であり、たったひと刺しでも感染する可能性があります。

症状

ヒトがデングウイルスに感染しても50~80%は無症状で、それ以外も比較的軽度な症状がほとんどです。しかし一部の患者で重症化する事があり、さらにごく一部で致命率(疾患の罹患者数に対する死亡者数の割合)の高い重症型デング(デングショック症候群等の病態になった患者)になります。

2~14日(通常3~7日)の潜伏期の後、急激な発熱(40℃以上の高熱がでる事も)で発症します。主な症状は発熱、発疹、頭痛、筋肉や関節の痛み、嘔吐等ですが、発熱以外の症状が現れない事もあります。発症時には発疹は見られない事が多い(症状が現れるのは50~80%)ですが、皮膚の紅潮が見られる場合があります。

発病後2~7日で解熱(1日か2日の間で急に熱が上がって下がるという二相性を示す)しますが、経過中に一部の患者でデング出血熱の病態を呈します。

顕著な血小板減少と血漿漏出(血液中の血漿が血管から漏れ出す)を伴うデング出血熱は典型的には発病後4~5日で発症し、この病態は2~3日続きますが乗り切ると2~4日の回復期を経て治癒します。

しかし病態が悪化し不安・興奮状態、発汗や四肢の冷汗、血圧低下、鼻出血、消化管出血等を伴うデングショック症候群になった場合は生命の危険がある状態となります(デングショック症候群等の病態になった重症型デングを放置すれば致命率は10~20%に達する)。

デング熱の病態分類

チクングニア熱ってどんな病気?

 

ネッタイシマカ
(ネッタイシマカ)

特徴

チクングニア熱はトガウイルス科アルファウイルス属のチクングニアウイルスによって引き起こされる感染症でデングウイルスと同じくヒトスジシマカやネッタイシマカによって媒介されます。

デングウイルスとチクングニアウイルスは、ウイルス学的には異なる科(デングウイルスはフラビウイルス科、チクングニアウイルスはトガウイルス科)ですが、臨床症状は非常に似ており鑑別する事は難しいです(関節の腫れや急性症状が治まった後の関節炎再燃のケースではチクングニア熱を積極的に疑う)。

2015年3月現在までに国内感染症例は報告されていませんが、デング熱同様ヒトスジシマカによって媒介される感染症であり、国立感染症研究所もチクングニア熱の国内侵入にはデング熱以上に留意すべきかもしれないと「デング熱・チクングニア熱等蚊媒介感染症の対応・対策の手引き」に記載しています。

症状

デング熱と類似しており、2~12日(通常3~7日)の潜伏期の後、チクングニア熱と呼ばれる急性の発熱と関節痛で発症します(デング熱同様感染しても発症しない不顕性感染もあり)。

関節痛は手首、足首、指趾(しし:手の指、足の指)、膝、肘、肩の順に多く関節の炎症や腫れを伴う場合もあります。

発熱は数日で終息しますが、関節痛や頭痛、倦怠感等は数週間にわたる場合もあります。関節痛や関節炎は数週間~数か月残るケースもあり、このような関節の痛みはデング熱には見られません。

デング熱・チクングニア熱の予防方法

 

2015年現在、デング熱とチクングニア熱に対して有効なワクチンはなく予防薬もないので蚊に刺されない事が肝心です(ヒトスジシマカは昼間に活発に活動する為日中は特に注意)。

予防の具体例

●ヒトスジシマカは植木鉢やバケツ等に溜まった水のような小さな水溜りでも発生するので、水がたまっているものは空にして蚊の繁殖場所をなくす(ペットの水飲み容器等はこまめに入れ替える)

●屋外に出る時は露出を抑える為に長袖を着て長ズボンをはく(理想としては衣類も防虫剤で処理する)

●窓や戸には蚊の侵入を防ぐ為のスクリーンを貼る

●DEET(ディート)を含む防虫剤もしくは他の米国環境保護局(EPA)が認可した薬剤を外気に曝されている部分の皮膚に塗る

「置くだけ」「吊るすだけ」タイプの虫よけ剤について

「虫コナーズ」や「バポナ虫よけネットW」、「ウナコーワ虫よけ当番」、「虫よけバリア」といった所謂つり下げ式虫よけ剤が適用害虫として記載しているのはユスリカ及びチョウバエです(これらの害虫に対しても風通しのよい場所では効果が不十分だったようです)。

ユスリカはしばしば川や池の近くで蚊柱をつくる蚊によく似た虫(蚊とは科が異なる)ですが、蚊のように動物や人を刺したり血液を吸う事はありません。

これらのつり下げ式虫よけ剤はヒトスジシマカに対しての虫よけ効果はありません。

>>「吊るすだけ」虫よけ剤に裏付け根拠なし 蚊は対象外、に怒りのコメント多数-J-CASTニュース

DEET(ディート)について

DEETを配合した虫よけ剤を危険視している人は多いが、忌避剤として最も効果的で効力が長持ちする事が示されています。

国立感染症研究所もデング熱およびチクングニア熱を媒介するヒトスジシマカの予防においてDEETを含む防虫剤もしくは他の米国環境保護局(EPA)が認可した薬剤によって防虫する事を推奨しています。

ディートを含有する医薬品及び医薬部外品における副作用等の報告状況

図:ディート(忌避剤)の安全性について-厚生労働省

上の図のように少ない件数ではありますが副作用報告もあり、人によってはアレルギーや肌荒れを起こすという報告もありますが、DEETの危険性は感染症の危険と比べれば極めて小さいとされています。

「危険なDEETは配合していないので安全」という商品が多数販売されていますが、その商品が蚊に対して本当にDEETと同じくらい有効なのかを調べてから購入する事をおすすめします(人体に対して使用する物なので医薬品もしくは医薬部外品の製品をおすすめします)。

医薬品、医薬部外品、化粧品もしくは医療機器に該当しないものは治療または予防の「効果」や「効能」を謳う事はできません。

子供に対して使用する場合は商品説明書をしっかり読み安全かつ有効な使用方法を徹底しましょう。これはなにも虫よけ剤に限った事ではなく医薬品、医薬部外品を使用する際は当然の事です。

●特に乳幼児等は「虫よけ剤」を習慣的に使用するのではなく、必要な場合に限り使用する
●エアゾールタイプは付着効率が悪く粒子の吸入が考えられるので、子供への使用は一旦手にとるなどの工夫をしたほうがよい。また、テスト結果を参考にし、より安全に使用できるようタイプの特徴を考慮して選ぶとよい
●乳幼児にはより安全に使用するため、手や顔への使用を控えるとともに、長袖、長ズボンの着用などで露出部を少なくするなどの工夫も考える
●医薬部外品のディートの濃度は銘柄による差があり、中には医薬品に近いものもみられたので、医薬部外品であっても医薬品と同様に使用量などの取扱いに注意しよう

虫よけ剤-子供への使用について-国民生活センターから引用

どうしてもDEET配合の製品を使いたくない場合はpicaridin(ピカリジン)やレモンユーカリオイルという選択肢があり(picaridinは日本国内未発売)、DEET、picaridin、レモンユーカリオイルのいずれかを含む製品は米国疾病対策センター(CDC)でも推奨されています(picaridinはDEETを同程度の濃度含んだものと比較して同等、ユーカリオイルは低濃度のDEETを含む虫よけ剤に近い効果)。

デング熱・チクングニア熱のおすすめ予防アイテム

 

・ムヒ 虫よけムシペールPS

ムヒ虫よけムシペールPS

DEET配合の定番虫よけ剤です。国内のDEET濃度の上限は12%(海外では80%や90%の製品もあり)ですが、ムシペールPSは上限の12%の商品です。第二類医薬品。

>>ムヒ 虫よけムシペールPS

 

・インセクトシールド虫よけメッシュパーカー

米国環境保護局(EPA)から承認を得たペルメトリン加工の虫よけウェアです。

皮膚が弱かったりアレルギー体質で虫よけスプレーの使用が困難な人におすすめです。

>>インセクトシールド虫よけメッシュパーカー

 

・蚊帳

説明不要の蚊帳です。

シンプルですが物理的に蚊をシャットアウトできるので就寝時の蚊よけにとても有効です。

>>蚊帳ワンタッチタイプ

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